アバンギャルド映画
20年代にヨーロッパで興った前衛映画運動。エンターテイメントを追求する一般映画とは一線を画し、古典的なものを否定して新しい芸術的表現を模索していた芸術家たちは、スクリーンをキャンバスに見立てて新しい映像による芸術的な表現の可能性を追求して難解な映画を続々と製作する。
ルイス・ブニュエル監督が、シューレアリズムの画家サルバトーレ・ダリと組んで制作した17分の短編『アンダルシアの犬』によってアバンギャルド映画は一つの頂点を極める。
50年代頃から活動が注目されだしたニューヨークを拠点に活動したオフ・ハリウッド派の映像作家たちは前衛的な作品も数多く制作し、ポップ・アートの草分け的存在である芸術家のアンディ・ウォーホルは、眠りや食事、散髪など日常的な行動を延々と撮った奇妙な映画を数多く製作した。
アメリカン・ニューシネマ
60年代後半から70年代にかけて製作された、当時の怒れる若者たちの心情を反映して、リアルな人間像を過激な暴力や性描写で描いた映画。
60年代のアメリカでは、ベトナムにおける戦争の泥沼化によって若者たちによる反戦、反体制運動が激化し、これらはアメリカが抱えていた様々な矛盾を表面化させる。
アメリカの若い映画監督たちはこの矛盾に疑問を投げかけて、楽天的なハッピーエンド主義のハリウッド映画に挑戦するかのように、ハリウッド映画のタブーを無視して斬新な内容や表現を含んだ全く新しい映画を製作するようになる。
67年に公開されたアーサー・ペン監督による『俺たちに明日はない』は、若者たちの無軌道な生きざまを過激なバイレンスを織り交ぜて描いてハリウッド映画にセンセーションを巻き起こし、その後、恋人の母親との不倫を扱ったマイク・二コルズ監督の『卒業』や、ドラッグに溺れる無軌道なヒッピーの姿をデニス・ホッパーが監督、主演で描いた『イージー・ライダー』など過去のハリウッド映画には見られないアメリカの旧体制に反発した自由で過激な映画が続々と発表された。